室町時代
中ノ瀬の阿弥陀さんの前を通り抜けて寺田の橋を渡ると ようやっと伊賀に入ったという気持ちになります その寺田橋を渡ったところの右手に大きな石碑の立っているのが見えます 『荒木又右衛門誕生之地』とあります
池宮彰一郎氏の小説『天下騒乱』などでおなじみの「鍵屋の辻の決闘」は 曾我兄弟の仇討ちや赤穂浪士の討ち入りとともに日本三大仇討ちの一つとされますが 義弟渡辺数馬を助太刀して仇である河合又五郎を鍵屋の辻で討ちとったその荒木又右衛門の生誕の地がここ荒木です
服部川左岸に広がる平野部から山地にかけて集落が点在していて この辺りは伊賀と伊勢をつなぐ伊賀街道に沿ったとても賑った場所だといいます
その伊賀街道の古道を服部川を左手に見ながら東にしばらく歩くと丘陵上に寺院が見えてきます 真言宗豊山派の地福寺です 細い坂道の頂に見えている山寺の風情が まるで一休さんのマンガに出てくるお寺のようです
境内には小さなお堂があり 中を覗くと磨崖から切り出された地蔵さんがお祀りされています 大釜地蔵さんです
右手に錫杖を 左手に宝珠を持って 右足を組み左足を踏み下げた半跏趺坐で座っています 光背の上部までを大きく湾曲させて彫り窪めていて まるで火焔のような形に見えます このような地蔵半跏像は伊賀では阿山の大江共同墓地に鎌倉時代の立派な地蔵さんがおいでになりますね
大釜地蔵さんは江戸時代には寺田橋南詰の東側にあったらしいのですが 改修工事でこちらに移ってこられたようです 元の場所に近い寺田橋南詰の西側 件の荒木又右衛門の記念碑のすぐ隣には小堂があって そこに二代目大釜地蔵さんがおいでになります
参考書籍
「伊賀の石仏拓本集」P65 市田進一
「石仏ー庶民信仰のこころ」P162 清水俊明
みえの歴史街道ウォーキング・マップ「伊賀街道」三重県
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