石山観音の磨崖石仏 津市芸濃町楠原

鎌倉中期〜

凝灰岩の岩肌に刻まれた像高3.32mの阿弥陀立像 壺型光背を深く彫り窪めた中に上品下生の来迎阿弥陀如来が立っています

深く肉彫りされた頭部に比べて体部は平板で正面性が強い造作の阿弥陀さんです 衣文は薄い半肉彫りで清涼寺式のような美しいひだの流れを見せています 胸には仏舎利か経典を奉納したと思われる小さな奉籠穴が穿たれています 

津市芸濃町石山観音の磨崖石仏
富川阿弥陀三尊不動明王磨崖仏

覆輪付単弁の蓮華座の下に框座をおいています 左右二区に区画して香狭間を入れたものです 同じように香狭間のある框座を持った石仏には 大津市の富川阿弥陀三尊不動明王磨崖仏があり 同時代の作だろうと考えられています

入り口の正面に立つ地蔵立像 像高3.24m 阿弥陀磨崖仏の意匠に合わせて 深い壺型光背を彫り窪めて その中に右手錫杖 左手宝珠の地蔵さんです

阿弥陀さんの表現と同じように 顔以外の手や衣文などを平板な薄い半肉彫りにしています 蓮座は複弁の反花座で 蓮座に並べて光背の左脇に蓮瓶がしつらえてあります

駐車場から南側の小川の岸辺まで降りていくと 右岸の岩肌に地蔵を種子 カ ह で表した梵字仏が三体 見慣れた薬研彫ではなく力強い丸底彫り 

左岸に地蔵立像と地蔵坐像 深く抉った壺型光背の中に丸彫りに近い彫りで写実的に表現された地蔵さんです

石山観音は山全体が三十三番霊場になっていますので 三十三体と番外の観音さんが残されています 左は一番札所青岸渡寺の如意輪観音さん 右は紀三井寺の千手十一面観音さん 像容は錫杖を持った長谷型観音になっています

他の石仏から遅れて嘉永元年(1848)に奈良唐招提寺の聖観音像を模して作られた聖観音立像 

参考書籍

「三重県石造美術」P236〜253 太田古朴 

コメント

タイトルとURLをコピーしました