正和三年(1314)
三重県指定文化財
旧久居市内の桃園地区に隣接しあった三つのお寺に それぞれ鎌倉後期の紀年銘を刻んだ地蔵さんが残されています 川方町の栄松寺と新家町の光明寺と津市牧町の宝樹寺の三カ寺で 同じ製作者が正和三年(1314)の同時期に製作した地蔵さんで『桃園の三地蔵』と呼ばれています
桃園の三地蔵の中で 他の地蔵さんは砂岩から造られていますが 永松寺の地蔵さんは凝灰岩の塊から光背の形を深く彫り窪めて石龕をつくって その中に半肉彫の地蔵さんを立てています 三体それぞれに思い切った工夫を凝らそうという意欲が伝わってきますが この大岩を深く彫り窪めた中の地蔵さんの姿も 息を呑むおもいで見つめてしまいます
桃園の三地蔵は在銘石仏の中では三重県内最古のものですが 栄松寺の地蔵さんには「正和三年八月十六日造立也」とあり 三地蔵の中でも一番最初に作られたことがわかります
参考書籍
「久居市史(上巻)」P168
「一志郡史(下巻)」P539
「三重県石造美術」P67 太田古朴
「三重県古銘集成」P40 和田年弥
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