室町時代
沖は古くには幾つかの寺院が集中する地域だったそうで 不動寺も明徳二年(1391)「西大寺諸国末寺帳」に記載される伊賀十二寺のうちのひとつで 古い歴史のあるお寺です 旱魃にあうことがなかったというほど水利に恵まれた土地で その一方洪水の被害は度重なったことでしょう 水に浸かった沖積地の様を「沖」と呼んだのが始まりだといいます その沖積地の最深部の丘陵地に不動寺はあります
境内に入ると地蔵さんが出迎えてくれました 天文十一年の銘と頭上に ह्रीः 阿弥陀の種子キリークが刻まれています 市田進一氏の「伊賀の石仏拓本集」には「左手に捧げる宝珠は珍しい型で薬壺風を呈し、袈裟掛け、金具は鎧(四分律)が刻まれる」とあります
お寺からさらに丘陵を登ると墓地があって その入り口に立つ珍しい形の一石六地蔵さんです 自然石の三面にそれぞれ二体ずつの地蔵さんが刻まれています
すぐそばの無縁塔最上段の阿弥陀さん 青空を背景に薄肉彫された姿が美しいです
無縁塔には他にもいくつかの石仏が集積されています
参考書籍
「伊賀の石仏拓本集」P139〜140 市田進一
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