延元元年(1336)
津市指定文化財

県内平野部では唯一の中世の種子碑です 同じ津市内でも山間部の美杉町あたりには古い種子碑が数多く見られますが それらの意匠とは随分違ったもので 異なる系統のもののようです

上部に大きく阿弥陀のキリーク ह्री その下に左が勢至のサク सः 右が観音のサ स さらに下に地蔵のカ ह が彫られています

市指定文化財 石造物 種子碑
南北朝時代
現地案内板より引用
種子碑は、もともと安濃川の川原の土手にあったものが昭和四十六年(1971)に洪水によって埋まり、掘り出して現在の場所(生楽廃寺)に移されたものです。
種子とは、仏や菩薩の像を表す代わりに、それを標示した梵字のことで、その恩恵や功徳が限りなく生じることを草木の種子にたとえていったことによります。
この碑の種子は、上部が阿弥陀如来、その下の左右が勢至菩薩と観音菩薩で、阿弥陀三尊を表現しています。また、下部には地蔵(延命)菩薩を表す種子があります。これらの種子からこの碑は、安濃川にまつわる弔いなどのために祀られていたものと考えられます。
この碑は、地元でいつからか解りませんが、「大日様」と呼ばれるようになり、また、カンコ踊りにも謡われるようになりました。
この碑の大きさは、高さ2.2メートル、最大幅60センチ、厚さ50センチの大石で、材質は花崗岩です。
なお、碑には建武三年(1336)にあたる南朝方の年号の「延元元年」と読める文字が見られ、この時期にこの地域が南朝方に関係していたことを示す歴史的価値の高い石造物といえます。
参考書籍
「安濃町史」安濃町P145
「安濃町史通史編」安濃町P750
「安濃ふるさと101話」安濃町史編纂委員会P158
「三重県古銘集成」和田年弥P53
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