寿厳院の曼荼羅石 伊勢市尾上町

應安七年(1373)

和具不動院の曼荼羅石 菩提山神宮寺の曼荼羅石 そしてここが三ヶ所目の曼荼羅石です
伊勢市尾上町の寿厳院 境内に掲げられた案内板には 眠り地蔵 身代わり地蔵 三浦樗良の句碑 野篠寸大の句碑 六地蔵石幢が案内されていますが 曼荼羅石のことは何も書かれていませんでした

表参道の石階段とは別に境内に車で乗り入れるための参道が設けられていますが その途中に古い墓石や石仏が集積されていて 曼荼羅石はその中に折り重ねられるようにして無造作に置かれていました
昭和48年に刊行された書物に掲載されている写真と見比べると 腰のところで半分に割れてしまっているようです 正面に見える一枚に釈迦の種子バク भः が辛うじて見えています その周囲を八文字の梵字が取り囲んでいるのですがよくは見えません 裏面には不動明王の種子 カーン हां と制吒迦童子らしい刻字があるはずですが 他の石板と重ねられていて裏面を見ることはできません 奥に重ねられている石板がこの曼荼羅石の下部のように見えます

今は失われてしまった経ケ峰マンダラ石と同時期の作とされ 数少ない南北朝期の遺品です 本堂を新築され非常に美しいお寺になりましたが こちらも忘れられることなく大切に遺していってもらいたいと思いました どうかお願いいたします

参考書籍

「伊勢市史第七巻文化財編」P341
「三重県石造美術」P336 太田古朴

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