県内在銘最古の六字名号碑
菩提山神宮寺の曼荼羅石がある伊勢中村墓地
曼荼羅石のそばには県内在銘最古の六字名号碑が遺されています
以前は墓地の南西隅の塀際に置かれてわかりにくかったですが
最近になって整備していただいたようで
曼荼羅石と並んで小さな覆屋に立っていました
中世とともに始まり終わった板碑
板碑は一石に彫り刻まれた卒都婆です 頭部に三角の山形 その下に二段の切り込み その下に額部 その下に身部 最下部に根部を設けるのが一応の決まりです これは五輪塔の形を簡略化したものという説もあります 関東で作られ始め全国に分布しましたが 中世の終焉とともに墓石に変わっていきました
左衛門太郎六字名号板碑
伊勢市有形文化財平成二十四年九月二十四日指定
現地案内板より引用
所在伊勢市中村町中村墓地
六字名号碑とは、南無阿弥陀仏の六文字を板状石材の表面に刻んで、卒塔婆(死者の供養のために墓の後ろに立てられ、上部が塔形になっている)としたものです。
本名号碑は高さ八二㎝、幅二六・五㎝で、上部が尖った山形で、二条の切れ込みを入れて額部と呼ばれる出張った部分が作られています。石材には地元産の青石が用いられています。
碑の中央部には「南無阿弥陀仏」の文字が薬研彫りされ、(断面がV字形に彫られること)、その左右に「文明十七乙己 左衛門太郎 六月三日」の銘があります。銘文から文明十七年(一四八五)に左衛門太郎が施主となって造ったものと考えられます。
本碑は、現在三重県内で確認されている最古の名号碑です。また、「中村町旧新楽寺文書」の中に左衛門太郎名義の屋敷売券(明応七年[一四九八])があり、六字名号碑の施主の実在が確認できます。
これらの事から本名号碑は、当地域における石塔姿の造立を考えるうえで貴重なものと評価できます。
平成二十六年三月 伊勢市教育委員会
参考書籍
「伊勢市史第七巻文化財編」伊勢市 P372
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