暦応二年(1339)
志摩市有形文化財

阿児町の神明神社へは二度三度と訪ねていますが曼荼羅石の所在がわかりません
古い書物には「石垣の上」とあるので 境内を囲む石垣をぐるりと巡ってみましたがそれらしいものは見つかりません 本殿の裏山もくまなく歩いてみました やっぱり見つかりません 半ば諦め気分で志摩市の文化財地図を眺めていたところ 曼荼羅石の所在地住所に枝番が付いていることに気づきました 神社の住所には枝番はほとんどありません 今まで神社の境内にあるとばかり思い込んでいましたが 境内地から離れた場所にあるに違いありません ということでさっそく阿児を目指して出動しました

神明神社の駐車場の車を停めて 神社の石段とは反対方向に消防団の詰所を曲がると なんだありましたよ

正面 背面 左側面のそれぞれに円相を描き 円相の中に九つの小円輪と その小円輪の中に梵字が刻まれているはずです しかし小さな覆屋に収められていて正面しか見ることができません わずかに円相が見えるのがわかるでしょうか その中に彫られた小円輪と梵字は確認することができません 昭和48年に刊行された書籍に写真が掲載されていますが 随分と磨耗が進んでいるように見えます

阿児町指定文化財 曼荼羅石(建造物)
昭和46年3月31日指定この曼荼羅石は、種子曼荼羅石塔姿といい、南北朝時代、神明神社の別当寺、文殊寺の境内に建っていたが、後世現地に移されたものである。総高0,92メートル、最大幅0.62メートル、最大厚0.52メートルの自然石を用いている。
現地案内板より引用
左側面に「文殊開山、沙門朝聞、暦応乙卯年正月十八日」(北朝年号)と刻まれている。
正面 文殊曼荼羅をあらわす。
背面 理趣会曼荼羅で中尊(中心)は金剛薩埵をあらわす。
右側面 胎蔵界中台八葉院(中心)をあらわし、上部に一字金輪仏頂をあらわしている。

神明神社の鳥居には茅の輪がかけられていました 夏越しの祓いに賑わったのでしょうか
参考書籍
「三重県石造美術」P293 太田古朴
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