南北朝時代
石仏を巡る旅は冒険の旅だなんて言いながら 夏の間はあの「長い者」と出っくわすのがいやで 冬が来るのを待っています 夏の間は少し敬遠したい そんな場所のひとつが黒石地蔵さん ここは少しだけですが山の中に入る必要があります
県道686号上野島ヶ原線は 慈尊寺のある白樫の集落を過ぎると 道幅を徐々に狭くしながら山間に吸い込まれていくようです このまま車で進むと進退窮まってしまうんじゃないかと心配になり始める頃 路傍に「黒石地蔵」の立て札を見つけました ここからは人ひとり通れるだけの小径を山の中に分入っていきます
少し離れた道端に車を捨て 県道を外れて山に入っていきます 少し登っていくと津島社の小さな社があります ガラス窓の灯籠が割れて転がっています お詣りも絶えて久しいように見えます そこから先にははっきりとした道は見当たりません 人が歩いたとおぼしき場所を探して進むと 片側が崖になった踏み分け道に 注意を促すためにかロープが渡してありました とりあえずそこを進んでいきます 足場が悪くて掴まるものがほしいです 生木の幹を掴んだりしながら進んでいきます こんな場所 子どもの頃は平気だったように思うのですが 今ではなんて身体が重くなったのでしょう 辟易としながらしばらくの間悪路のアップダウンを続けるうちに ようやく昔の街道の名残かと思われる少し開けた場所に出ました 三角にとんがった岩の中から地蔵さんがこちらを見ています
岩の正面に上部を弧状にした舟形を彫り窪め その中に薄肉彫りされた地蔵さん そばに地元の有志が建てられた案内板がありました
黒石地蔵
県道・上野島ヶ原線、白樫地内の岳山に隣接する字、早稲谷、標高は270m位の位置にあり、地区全域を見下ろし村を守護する石仏で「黒石さん」と呼ばれ、地区民に崇められている。石仏への道は、島ヶ原、笠置に通じる重要な道路でもあり、昔は大阪方面より参詣する人々があった。 この地蔵は南北朝時代(一三五〇年頃)の作と云われ、左下には「涌光」と刻まれている。 平成二一年
現地案内板より引用
花垣歴史研究会
油断すると危険
南北朝時代とある 伊賀でもかなり古い地蔵さんということになります 多くの人がお詣りできるとよいのですが 途中に少々危険な場所もあって 年配の方にはお勧めしにくいです もう少し参道が整備されて誰でもがお詣りできるようになってほしいですね
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