江戸時代
岩鼻の渡し
県道39号青山美杉線を走りました 古代にはもみじを「黄葉」と書いたといいますが それもなるほどと思えるような美しい山の色 この県道青山美杉線と県道693号蔵持霧生線とが交わる黒渕橋の辺りから川上の酒屋の辺りまでは県道が開通するまで前深瀬川の左岸を通る難路だったようです 途中で柱状節理の岩盤が道を塞いでいて そこでは川の中の岩を伝って対岸に渡ったといいます その場所が「岩鼻(いわっぱな)の渡し」です その渡しの大磐から旅人の安全を見守ってきたのが岩鼻地蔵さんで もとは磨崖の地蔵さんでしたが 昭和に入った頃に切り出されて旧道の路傍に立ってみえます
旧道を行く
岩鼻地蔵さんと会うためには 高尾保育所前バス停の辺りから前深瀬川を渡って対岸の旧道を探さなければなりません 1/2500都市計画図を見ると 川岸からは少し山手に入った辺りを 川に並行して細い小道が伸びています バス停から500mほど川上には沈下橋のような橋が記載されていて 小道はその辺りで途切れているので この沈下橋のあたりが「渡しの飛び石」の痕跡ではないかとあてをつけて とりあえずそのあたりをめざして 中出橋を渡って旧道に入ることにしました 夜になると動物の楽園なのでしょうか 道には鹿の糞が散乱していて 中には熊か?と思うような立派な糞も盛られています 猪でしょうかね 250mほど歩いたところの山中に墓地がありました 狭い場所ですが美しく清められています 三昧かと思ったのですが石塔だけの詣り墓のようです さらに山道を先に進みます びっくりするほど大きな朴の葉が落ちています 鹿の糞を踏まないように足元ばかりを見て歩いていると すぐ目の前に地蔵さんの姿にでくわしました
岩鼻地蔵
500mほどを歩いたでしょうか 柱状節理の岩の壁の前に小さく切り取られた岩鼻地蔵さんです 江戸時代中頃に近くの民家に泊まった修業僧が彫ったという言い伝えがあって 歯痛と頭痛によく効くといいます 右手に錫杖 左手に宝珠を持ち 穏やかな優しいお顔です
参考書籍
「青山風土記」昭和62年5月号「磨崖仏だった岩鼻(いわっぱな)地蔵」
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