供養塔:延宝六年(1681)
地蔵石仏:慶長六年(1601)
謎の供養塔
茶臼山の山裾に梅本寺というお寺が残っています 元は茅葺き屋根だったのでしょう まるで普通の農家のようにしか見えないですが 廃寺となった後は会所として使われていたようです
境内の墓地には新旧の墓碑が建ち並んでいますが中に見慣れない供養塔があります 自然石の上部に月輪を彫り窪め その中に阿弥陀の種子 ह्रीः (キリーク) その下には上辺を弧状にした長方形を彫り窪めて左に地蔵さん 右に板彫り五輪塔の陽刻を並べています そして地蔵像の下に陰刻されているデザインが 地蔵体部のデザインと合わせて 陰陽を現しているように見えます
延宝六年の銘文が確認されていますが この境内墓地には他にも数基の同種の供養塔が遺されています 問題の箇所は埋められていて見えませんが 同種の供養塔について県立図書館の資料を探してみたところ「東海の伝説(堀田吉雄編著)」に「御命講の墓」として紹介されていました
「右に五輪、左に死者を刻む。台座の蓮華が子どもの描く女陰形に似ており土地の人はOmekohの墓と呼ぶ」とあった。
日蓮さんの命日の法会のことを御命講といいますが 語呂合わせだけの駄洒落ですね また五輪塔と並ぶ像を「死者」としていますが やはり合掌した地蔵さんと見るほうが自然ではないでしょうか
墓地の中でひときわ目立つ地蔵さん
舟形光背の上部に地蔵の種子 ह カを刻んでいます 慶長六年(1601)の銘が残っています
参考書籍
「名張の金石文撰ー石仏•石塔編」P76 名張金石文研究会
「東海の伝説」堀田吉雄
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