薬師堂の薬師如来石仏 名張市鴻之台

室町時代

名張消防本部の北側 木々に覆われた小高い丘の頂上に小さなお堂が建っています 入り口に「薬師堂」の看板があって 地図を見ても「薬師堂」とあるのですが 古い書物には「子安地蔵堂」と載っています 地割はこの辺りだけは芝出から鴻之台に変更されたようです この丘を堺にして北側には古くからの芝出の在所が残っていますが 南側は市役所や消防本部が建ち並ぶ近年開発された「鴻之台」で 開発の波がそのまま形を成したような場所です お堂の中には薬師さんが座っていました

ドーナッツをふたつ重ねたような螺髪 どんぐりのような面長なお顔 弱々しい両腕の表現など 芝出型石仏の特徴を備えた薬師さんです ずいぶん傷んでいて右手の様子はよくわかりません 左手には薬壺を持っているので薬師さんです ここから北に50mほどの辻堂にも芝出型の薬師さんがおいでになりますが 名張市内で中世まで遡る薬師さんはごく僅かで 伊賀市内を加えても鍛冶屋地蔵ノ本の川辺の薬師摩崖仏などが思い浮かびますがそれほど多くは残されていません 

この辺りを造成した際に出土したものか お堂の隣には少石仏が集積されていて 室町末と考えられている地蔵さんが立っています

参考書籍

「名張の金石文撰ー石仏•石塔編」P53 名張金石文研究会 

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