文亀二年(1502)

石仏を見ることを始めて最初に困ることは そもそも何処に行けば石仏があるのかがわからないことです 資料を探して図書館や古書店を歩くのですが まるで金脈を探すようなもので 収穫に恵まれることはそれほど多くはありません それでも津市内では石造遺物の悉皆調査が進んでいて すでにいくつかの地域については報告書が発行されてています 現地を虱潰しにおこなう調査は 苦労の多い骨の折れる仕事だろうと思いますが おかげさまでまたすばらしい地蔵さんと出会う機会をいただきました
津市白山町稲垣地区 垣内川に架かる八対野橋のたもとに地域の共同墓地があります 埋め墓だったのだろうとおもいます 昼でも暗い静かな場所です 隅切りの内部を深く彫り窪めた龕部に厚肉彫りされた地蔵さんが立っていました

右手の錫杖は杖頭部が大きく木柄部の短いもので左手は宝珠を持っています 津市がおこなった今回の調査の中で 地蔵さんの左に文亀二年(1502)の刻銘が見つかり 旧白山町の在銘石仏の中では最古のものということが判かりました

参考書籍
「はくさんの石造物-八ツ山地区編」P49 三重県白山町教育委員会
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