室町時代

老ケ野の県道沿いに立つ三面地蔵さんと似た地蔵さんが同じ八知地区に残っています
小田地区の願音寺
小高い丘の上の本堂へと続く参道の途中に
庚申さんと定形地蔵さんと並んでその三面地蔵さんが立っていました
方状の節理をそのまま使ったかのような赤みの残る大洞石 その各面に独特の表現をした地蔵さんが彫られています 頭部が極端に大きく線刻された目は杏仁形をしています
錫杖の彫りは弱く遊環は摩耗していますが縦にぶら下がっているように見えます
そして極端に小さく彫られた手は比奈知型石仏の影響を受けているように見えます
老ケ野の三面地蔵さんと同様に太田古朴氏は美杉村史の中で室町時代の作としています
青面金剛像もデフォルメされた表現で味があります 右側は一石一尊の地蔵さん やはり同じような作風です

参道を更に進んで本堂の裏手には狭い墓地があって
墓地入口には四面に六体の地蔵が彫られた地蔵さんが立っています
参道の三面地蔵さんと同様に笠石を載せていますが
こちらは笠石の上に更に宝珠が載っています
他所の墓地で見られる一石六地蔵と同種のものでしょうが
凝った造作でとても美しいです
墓地の中には他にも何基かの石仏があって
左の双仏石は地蔵さんと阿弥陀さんだろうか 右は近世の観音さんのようですが やはり比奈知や長瀬あたりで見かけるものとよく似ています
参考書籍
「美杉村史(下巻)」P620 美杉村
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