石仏が石に彫られていること

先日は津市稲葉町の稲葉神社の懸税(かけちから)の御霊石のことを書きました
大石に神さんが降りてきたというお話でしたが
こんどは伊賀市安場の大石です
旧名張街道と上野名張バイパスの間に横たわる丘陵
立木の中の小さな広場のような場所に二個の巨大な球形の岩が並んでいます
 
右の岩には地蔵さん 左の岩には役行者さんが彫られています
この磨崖仏は資料がないので私なんかには時代はわかりませんが
左の役行者さんは大峰講の造立ですから
江戸中期以降のものではないでしょうか
見ていると稲葉神社の懸税(かけちから)の御霊石のように
「忽然と出現した」ところを想像したくなります
 
よく似た磨崖仏がこの近く伊賀市古山界外の光明寺裏山にもあります
やはり巨大な丸石に彫られた地蔵さんです
こちらは室町後期頃の造立といわれています
今から五百年近く前のこと
忽然と出現したように見える巨大な丸石を前にして
「霊(タマ)が宿っとるみたいや」
「霊(タマ)が石になって現れたみたいや」
そんなことを考えたのではないでしょうか
そんな感覚は古代や中世の人だけのものではありません
 
平成七年のこと
山添村のふるさとセンターの造成工事の際に忽然と現れた巨大な球形の岩
今では長寿岩と命名されて 最近の写真を見ると しめ縄の鉢巻が巻かれています
現代人の感覚でも何やら霊的な力を感じる
今風に言えばパワーを貰えるような感じがするのではないでしょうか

 

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子供の頃に読んだ本に
大野の磨崖仏を彫ったのは罪人たちではなかったか
という文章があって それには子供心に違和感を感じたものです
石工たちは岩の肌に弥勒が顕現する喜びに胸が躍ったのではないでしょうか
仏の姿をこの世に現すには石が何よりも相応しいということを
知っていたのだろうとおもいます

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