ほうろく岩の石仏 松阪市大石町

年代不詳

松阪市大石町の大石不動院 
松阪の人らは「おいしの不動さん」と呼んで親しんでいます

不動院を出て松阪方面に向かって100mほど歩くと 左手の岸壁のたもとに建つ小さな祠
中には二体の石仏がお祀りされていました

左に智拳印を結ぶ大日如来さんと右に三面二譬の馬頭観音さん
その昔 街道は祠のすぐ前を通っていたようです
大和と伊勢を結ぶ旧伊勢本街道です また ここ大石から横野までの区間は松阪と和歌山を結ぶ和歌山街道が重複していたので 行き交う旅人も多かったとおもいます

祠の背後にそびえる岸壁は『ほうろく岩』と呼ばれています
大正の頃の写真を見ると そそり立った岸壁の上部に大きな岩が嵌まり込んだようになっていて 嵌り込んだ隙間からは背後の空間が覗いています いかにも危なっかしい

こんな昔話が伝わっている

大和から伊勢へ向かう「ほうろく売り」の商人がここを通った時のこと
『ほうろく』とは 素焼きの土鍋のことなのですが
岩壁の下を通った時にあの岩が落ちてきたら 苦労して背負ってきたほうろくが全部割れてしまう と心配で動けなくなってしまいました
どうしたものかと考えあぐねたすえ 思い切って大急ぎで走り抜けてしまおうと 意を決して走り始めましたが その途端 小石につまずいて転んでしまい 背中のほうろくは全部割れてダメになってしまいましたとさ
それ以来 「ほうろく岩」と呼ばれるようになったといいます

たぶん国道整備の頃にほうろく岩も工事されたのだろう
今では危なげない小さく岩肌が見えるだけです

夏になると天然記念物のムカデランが花を咲かせます

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